「歌い手遍歴その1」

 

 ボーイ・ソプラノだった。青森の小学校六年生のとき音楽の先生に言われて、NHKの「声くらべ腕くらべこども音楽会」という番組に出た。歌ったのは「日本アルプス」(作者不詳)。「雪をかむれる高山の空にかぎれる気高さよ」が歌い出して高音が続く。60年たったいまでもたまに口ずさむことがある。不思議と本番であがったりしなかった。それからいままであがる、ということがほとんどなかった。というか、あがるとどうなるのかということがわからないのだ。 

 人前で歌ったのは次に八王子市の市民のど自慢大会だった。カラオケなどない時代で、生バンドだったような気がするが、高校生だった。前述した真山一郎の「王将」。バンドの音が大きく、自分の声を見失ってしまい、ひどい結果だったと思う。もしかすると、このときは少しあがっていたのかもしれない。

 その後は学校のコンパやスキー合宿などで歌うことがかなりあった。定番だったのは小林旭の「さすらい」(作詞:西沢爽作曲:狛林正一)「夜がまたくる思い出つれて、おれを泣かせに足音もなく」というハイトーンの歌である。あとは松島アキラの「湖愁」(作詞:宮川哲夫作曲:渡久地政信)「悲しい恋のなきがらはそっと流そう 泣かないで」。

大ヒットした歌だ。

 小林旭 さすらい松島アキラ 湖愁         さすらい/小林旭(1960年)         湖愁/松島アキラ(1961年)

LINEで送る