「歌い手遍歴その2」

 島倉千代子後援会、いまでいうファンクラブに入っていたが、人前で彼女の歌を歌うことは基本的にはなかった。前述したようにコンサートでデュエットしたことはあるが、それ以外にはない。いまも歌わない。島倉千代子の歌はあの声だから成り立つのであって、ほかのだれが歌ってもうまくは歌えない。それに「私がいないところで私の歌を歌ったりしないで」と生前、言われたことがある。まあ、聴くに耐えないということだろうが、「島倉千代子という人生」(新潮社)という本の著者なので、いつも歌っていると思われているらしい。

 社会人になりたてのころは、森進一をよく聴いていたし、口ずさんでいた。「望郷」(作詞:橋本淳作曲:猪俣公章)「女心のふるさとは 忘れたはずの男の胸よ」、「港町ブルース」(作詞:深津武・なかにし礼作曲:猪俣公章)「背のびしてみる海峡を 今日も汽笛が遠ざかる」。たくさん港町が登場する。函館、宮古、釜石、気仙沼、三崎、焼津、御前崎、高知、高松、八幡浜、別府、長崎、枕崎、鹿児島。「命かれても」(作詞:鳥井実作曲:彩木雅夫)「惚れて振られた女の心 あんたなんかにゃ わかるまい」もよく歌った。「ゆうすげの恋」(作詞作曲:中山大三郎)「ゆうすげは淡い黄色よ 夜に咲き 朝に散る花」

 「さざんか」(作詞:中山大三郎作曲:猪俣公章)もよく歌った。このころは森進一の原曲キーでそのまま歌えた。

スクリーンショット (19)

島倉千代子という人生/田勢康弘 (1999年発売)

 

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