「課題曲 回転扉」

 小田純平が歌う「恋月夜」「どうして忘れられるでしょうか」の作詞は伊藤美和である。伊藤に訊いたことがある。「涙で解いた紅を引いたら あなたを探して命が騒ぐ」などという歌詞がどうして書けるのか、みな体験ですか。いいえ、全部想像です、と答えたが、純平に「美和さんと恋月夜のような曲を課題曲用に作ってくれ」と頼んだ。歌い出しがまずすごい。「許して下さいこの恋を ほかに何にも望まないから」。歌いだしを純平は語るように歌う。課題曲にとさし上げた歌だからと純平は自分のライブではまだ歌っていない。課題曲はすべてカラオケで配信されているが、回転扉が圧倒的に支持されているようだ。作詞伊藤美和、作曲歌唱小田純平という組み合わせは1+1=3になっているような気がする。「近づくほどに遠くなる まるで二人の未来のように」。こんな詞を書く伊藤美和はまったくの素人から作詞教室に飛び込んだ作詞家だ。純平もまた3歳から舞台で歌っているいわば雑草のような歌手である。純平はいくら歌っても声が枯れない。2回のライブを終えたあと、純平は一人でカラオケに出かけて一人で歌うことがよくあるという。歌が好きというレベルを越えて、歌っている時だけが生きている時なのではないだろうか。小田純平のようにこころを伝えることのできる歌手を応援しよう、というのがこの大会のねらいだったが、大会より前に純平も美和もビッグになった。小田純平のような歌手は全国にたくさんいる。決して若くはないが、人生の歳月を感じさせるような歌い方のできる地方のスターはたくさんいる。そういう人々にライトを当てて行きたい。僕もいつかは小田純平の歌う詞を書いてみたいと思う。

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