「課題曲 ワイパーはまだ直さない」

 作詞は「親鸞」などの大作家五木寛之。83歳になる人がこんな詞を書くのである。よく同じ質問を受ける。この歌の中で車を運転しているのは男なのか女なのか。たしかにどちらとも読めないことはない。まあ、しかし女が車を運転して男を空港へ送って行く、と解釈するのが順当ではないだろうか。「降りぎわにキスもせず あなたは行った」。一般的には別れ際のキスを求めるのは女、いや、いまの時代は違うのかな。でもまあ、「ワイパーを直して」というような身も蓋もないようなことを口にするのは昔も今も男だろう。曲を作って歌っている小田純平は「車のスピードが感じられるようなテンポにした」と語る。送って行ったまま、男は(あるいは女は)帰ってこない。「あれから半年 ワイパーはまだ直さない」でいるのだ。若い男女の愛の機微を微妙に表現したこの歌、かなり歌う人が増えている。小田純平の新しい魅力を引き出す重要な曲になるような気がする。一番重要なのは歌い出しの「あの日は雨だった」。低くなだらかな歌い出しだけに音程が狂いやすい。人気は高いが決してやさしい曲ではないと思う。

 

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