『いま北国』
挑戦

今回の13課題曲の中で最も挑戦したといってもいい作品ではないだろうか。
アレンジ、レコーディングとも試行錯誤の連続であった。最初の仮伴奏音源で伊藤多喜雄さんが歌ったものは少し歌いにくそうな雰囲気があった。この作品はワルツの3拍子、民謡の伊藤さんの範疇には無いリズムなのである。それに、ご自身が得意とされているロックバンド・ソーラン節のような「縦ノリ感」がつかみ難い。
「さて、どうするか?」 アレンジャーの杉山直樹さんと思い悩んだ挙句、伊藤さんのライブを見に行くことにした。そこに何かヒントがあるかもしれない。
そのライブは、腕利きのジャズやポップスのプレーヤに、尺八、バイオリンを加えるというユニークでパワフルなもの、これぞ伊藤多喜雄民謡サウンドの真骨頂であった。そこで彼の情熱、世界観をしっかりつかんだ。そのような中ヒントに遭遇した。
山崎ハコさんが書いた『愛しき大地』というバラード曲がアンコールのエンディングで歌われた。
「こういうしっとりした歌も合う」 「これはアジアの大地だ!」 そう直感した。
『いま北国』も単純なワルツではなく、12ビート刻みのリズムでアジアンテイスト、エスニックテイストをふんだんに取り入れ、そこに、尺八、ジプシー風バイオリンを乗せて民族音楽的なアレンジにしよう!
それは杉山さんが最も得意とするアレンジであった。

伊藤多喜雄いま北国

これには伊藤さんが反応した。「私にうまく歌えるでしょうか!?」とおっしゃる横顔には、不安げな言葉とはウラハラに新鮮な歌へのチャレンジャ精神が溢れ出ていた。
一度乗ると伊藤さんは強い。イントロのバースに「江差追分」を入れたいという希望。民謡で独自の世界を作り上げてきた彼がついにアクセル全開。予想だにしない変則的な構成に変更したがこの曲は全てが挑戦である。
そして、「いま~~~」の伸びやかなTAKiOハイトーンが決まった。
こうした勢いで面白いものが出来る。「何なのこの不思議な感じは!?」という型破りながら新しい民謡風の歌が誕生した。
作詞の立原岬(五木寛之)先生もさぞやびっくりするだろうと思いながらディレクター椅子から後ろを見ると、ニコッと笑った田勢さん(田勢康弘代表)と目があった。

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2016年2月27日 タイクーンミュージックスタジオ

レコーディング映像

試聴

 

いま北国

作詞:立原 岬/作曲:野辺山 翔/編曲:杉山直樹・白木 勉/歌唱:伊藤多喜雄

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