『花一花』
すべてはこの曲から始まった

この作品のデモテープを初めて田勢康弘代表から聴かせていただいたのは昨年の今ごろだった。電話の向こうから流れてくるカセットテープの音を聴き逃すまいと耳にスマホを押し付けるようにして聴いた。
それ以来、しっとりと切なく哀愁たっぷりでそれでいて力強さを感じるこの作品がずっと頭にこびりついていた。
作曲家の美樹克彦先生が恩師の作詞家 星野哲郎先生に懇願して書いていただいた詞に自身で曲をつけ、それを田勢さんが預っていた。この素晴らしい曲をいつか世に出したいという田勢さんの思いが「全日本こころの歌謡選手権大会」の原点だった。それが、いま23年の時を経て初めて世に出るのだ。

この作品は、前半のつぶやくような「語り」の部分と、後半の「死ぬまでに」から盛り上がるサビの部分と二つの幕がある。星野先生の孫弟子にあたる編曲家の若草 恵先生は、この作品の「花」を八代亜紀さんに咲かせてもらうべく見事なドラマを作り上げた。
ケルティックという民族音楽風な音を奏でるバイオリンや「カンテラ」と呼ぶ北欧の古典的なミニ・ハープのような弦楽器を、イントロからきめ細かに挿入し「しっとり感」たっぷりの前半。そして、若草ストリングスと呼ばれる「繊細でいて重厚」なサウンドによって後半のサビ部が見事に表現されていた。スタジオを異次元の世界へ誘うようなアレンジであった。

八代亜紀レコーディング

そこに八代亜紀さんの歌。テイクの合間にボーカルブースの向こうから
「この詞、歌っていると背すじが”ゾクゾク”するのよね。長い間歌手をやってきてこんなことは初めて。」
と明るく言いながらも、やや緊張気味にレコーディングは進む。
「死ぬまでに一度しか咲かない花」をどのような世界観で表現するのか、八代さんの歌に対する真剣勝負をスタジオの全員が固唾を飲んで見守っていた。
そして八代さんの歌でこの「花」にみずみずしい命が吹き込まれ、可憐な「花」が咲いた。

「どうですか?」と感想を聞かれた田勢さんが、
「いま感動で言葉が見つかりません。」
と言ったことが忘れられない。

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2016年3月9日 サウンドインスタジオ

レコーディング映像

試聴

 

花一花
作詞:星野哲郎/作曲:美樹克彦/編曲:若草 恵/歌唱:八代亜紀

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